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楽凱黒白航空偵察フィルム

某所で期限切れが売っていたので買ってみました。

CHINA LUCKY航空撮影用フィルムは何種類か存在するようですがweb上に詳細な情報がありませんし、当然実物など見たこともありませんでした。

A.jpg

購入したのは航空偵察用黒白ネガフィルム(C1021)で、中国の軍用標準GJB 3332-1998に規定されているフィルムです。35mm両孔/60m。購入元には16mm両孔/100ft.,80mm/20m,190mm/30m,190mm/60m,320mm/60mがあるそうです。ISO200時D-76(stock)20度で6~8分と説明されています。

60mにも関わらず、400ft.用(?)と思われる缶に入っていました。

110609-B.jpg

こんな遮光袋に二重に包まれていました。

100ftの一般的なものではなく、Uコアという400ft用に巻かれ、スプールではありません。
ベースが薄いのか普通の100ftより直径が1~2cm大きい程度でした。

早速パトローネに詰めてみました。
乳剤面は、まぁ一般的なモノクロフィルムです。何て事はない。

110609-D.jpg

こちらがベース面。

110609-C.jpg

efkeの青っぽいのも驚きますが、この緑色のアンチハレーション層は衝撃的です。


ここからは、このフィルムの前考察です。

航空写真では快晴の太陽角40度、飛行高度5000~10000フィート等の撮影状況が想定されています。過度の青味を補正するため、ラッテンNo.12などの濃黄色のフィルターを使って撮影します。

この品物は恐らく中国空軍関係の放出品なのでしょう。出元は中国のショッピングモール淘宝網の行三工坊で、在庫は少ないですが各種販売されています。保存状況が良くないため生産年の古いものは感度落ちや乳剤劣化が激しく、その分安いです。支払方法など日本から直接購入するのはかなりハードルが高いと思います。この品物の話題はあちこちのBBSに書き込みがあり、中でも中華相机網の該当スレッドには各種データもあり、大変参考になります。
それによると、

感光度 S : ISO A 160-320
平均斜率 G : ISO G 1.6-2.2
灰霧密度 Do : <=0.10
最大密度 Dmax : >=2.80
寛容度 L : >=0.60
感色範囲(nm) 400-700
増感峰(nm) 570,600,685


このフィルムは乳剤のバラツキが大きいらしく、私の手に入れた2010/8期限は新しい方で恐らく最も良い方と思われます。この缶には、

感光度 (Sensitivity) ISO A 200
平均斜率 (Agerage Gradient) ISO G 2.2
灰霧密度 (Fog Gamma) 0.06


とあります。

「感色範囲」は僅かに赤外域に届く程度。スーパーパンクロマチックといえるでしょうか。
「増感峰」をみる限り青の感色性が低く航空用としてフィルターレスで使える仕様と思われます。代わりに赤に対する感光波長域が広いです。アンチハレーションが補色の緑になっているのはそのためかも。
「ISO G」はいわゆるC.I.でしょう。
「ISO A」は感度ですが、見慣れない記述です。
コダックのサイトによれば、

航空フィルム感度(EAFSまたはISO A相当)は、一般撮影に使用するロールおよびシートフィルム用のフィルム感度と混同しないでください。航空写真の被写体の特性は、被写体の輝度域が狭く、大気中のもや、その他の要因のために、通常の写真つまり地上の写真とはかなり異なります。したがって、航空写真の被写体の特性を実際の露光に適合させるため、異なった感度決定方法が採用されています。

航空フィルム感度の基準に基づく、コダック出版物(英文)No.AS-10、「KODAK Aerial Exposure Computer」があります。

と書かれています。

AS-10はハードコピーのみの提供でweb上には文書がありませんでした。Amazonで購入することもできますが、ちょっと高価です。そこで兎に角ISO AとASAの相関がどの程度なのか、が判ればと思い検索すると、AGFAの航空フィルム、AVIPHOT PAN 200(これはRollei SUPERPAN 200としても販売されています)のデータシートのExposurre/time curvesの表が少し参考になります。ISO Aの方が若干高めという感じでしょうか。現像条件に拠る所が大きいようですが。

中華相机網の該当スレッドによれば現像データは、

現像 軍現-2(ул-2) 20+-0.5度 9+-1分
水洗 18+-3度 15秒
定着 軍定-1(F-5) 20+-2度 15分
水洗 18+-3度 15分以上
乾燥 35度以下

現像液「軍現-2」の処方は軍用標準GJB691-89の資料中にあり、

蒸留水(45~50度) 750ml
無水亜硫酸ナトリウム 14g
メトール 5g
ハイドロキノン 6g
無水亜硫酸ナトリウム 26g
無水炭酸ナトリウム 31g
臭化カリウム 4g
水を加えて 1000ml
薬品投入の順番を守ること。(pH 10~10.2)

とあります。

無水亜硫酸ナトリウムを二度に分けて入れていますが、一般的な処方のようにメトールとハイドロキノンの間に一度に40g入れても良い気がします。キリル文字でул-2とあり、ソ連時代の処方と推察。ORWO-1に似たMQ現像液。

なにはともあれ、一度テストしようと思います。
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