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Astrum FOTO (1) ウクライナから届いたフィルムの現像を考える

ウクライナの Astrum という会社からフィルムが販売されていることを知って、早速手に入れてみました。

A.jpg

Astrum のホームページを調べてみると、1995年にウクライナに設立された会社で、産業用のフィルムや磁気テープ、粘着テープや塗料などを手広く扱っている様子。

さらに映画・写真用感材のページをみると、随分と多様なフィルムを扱っています。これらをディストリビュータに応じて多様なパッケージで提供する用意があるとも書かれています。どうやらかつてソ連時代から使われていた Tasma や Svema の商標を抱えているように思えます。

そこで wikipedia の Svema の項目を調べてみると Svema は2000年に生産が終わり、Astrum がこの生産施設を引き継いだとあります。なるほど Svema の正式な後継者のようです。



まずは現物を確認します。
今回手に入れたのはFOTO 100 (ФОТО 100)とFOTO 400 (ФОТО 400)の2種類です。

FOTO 100はラベルの下のほうに、

B.jpg

время проявления 3 мин
обрабоитатъ До: 01.2018
партия: 2135

とロシア語で書かれており、これは、

現像時間 3分
現像期限 2018年1月
製造番号 2135

を表しています。

FOTO 400は紙パッケージの上部に、

C.jpg

час проявл. 6 хв.
оброб. До 08.18
партія No 18

とウクライナ語で書かれており、これは、

現像時間 6分
現像期限 2018年8月
製造番号 18

を表しています。

でも肝心の現像液が記されていませんね。



実のところ今回のパッケージを発見する以前から、Svemaのフィルムは流通していました。

多種多様なフィルムを販売している、米ニュージャージーの Film Photography Project です。

実際にここの該当商品をみてみると、Svema FOTO 100 は24枚撮パトローネ入りの販売だけでなく、100ft.の長巻でも販売されています。これらの現像時間はD-76で6分と説明されています。

Svema FOTO 400 のほうは、24枚撮パトローネ入りの販売のみで、現像時間はD-76で6分と説明されています。

どちらの作例も美しいですね。なかなか良さそうなフィルムに思えます。


ここで大きな疑問が生じます。FOTO 100 の現像時間が一致しません。どういう事なのでしょうか?



同じ Astrum のパッケージで販売されているサイトを探してみました。

モスクワにある СРЕДА です。オンラインで買い物ができるようです。

FOTO 100 の紹介ページでは180 RUB (今の換算で300円ぐらい)で、感度は D-76 で示されているとはっきり書かれていて、サンプル写真の品は6分です。しかし製造番号が違うようです。

FOTO 400 の紹介ページでは230 RUB (今の換算で380円ぐらい)で、サンプル写真の品は13分です。これも製造番号が違います。

なるほど現地価格は一昔前のフィルムを想像させるような廉価フィルムですね。


さて、このサイトを確認してますますわからなくなってきました。FOTO 100 は3分だったはずが6分、FOTO 400 に至っては6分だったはずが13分です。どういう事なのでしょうか?



買った人達はどう解釈して現像しているのかが気になります。現像液は D-76 でいいのか、パッケージに書かれている時間は正しいのかです。

webを探ってみると、XTOLを使ったなどの現像情報は色々あるのですが、肝心の話がなかなか見つかりません。唯一見つかったのは、

frickr の Svema Films グループにある "Astrum/svema sheet film woes" というディスカッションに、FN-64 のシートフィルム(どこで手に入るのか全く不明です)には「パッケージに Agfa/Orwo 12 で6分と書かれている」とあります。

今求めているのと違うフィルムですが、パッケージに現像液名が書いてあるとは大変重要な情報です。

その Agfa/Orwo 12 というのがどんな処方かと手持ちの「写真工業別冊 最新写真処方便覧」を調べてみると、

AGFA 12, ANSCO A-12, ORWO 12

水(約50℃) 750ml
メトール 8g
無水亜硫酸ナトリウム 125g
無水炭酸ナトリウム 5.75g
臭化カリウム 2.5g
水を加えて 1000ml

というメトール単薬系の処方です。

しかもこれは同書に書かれている「ソ連規格感度測定用現像液No.2」と共通で、ウクライナ製であることから考えてかなり信憑性が高いように思えます。



そこでこの裏付けを求めてロシアのサイト КлубДальномер を覗いてみると、ФОТО 100 が2012年あたりからロシア国内で出回っている様子です。そしてフィルムベースが薄い事、コントラストは良いと書いてあったり、ダメな品質だ失望したなどと酷評まであります。

現像時間については販売元は表記は D-76 の現像時間で6分と言った。いや私のは9分と書いてあるといった具合です。これもまた判然としません。仕舞には私と同じ疑問を持ち、ソ連時代の УП-2 か СТ-2 の現像時間ではないかと書いている人までいます。

「УП-2 か СТ-2」、これは恐らく「ソ連規格感度測定用現像液No.2」を指しているのでしょう。やっぱりメトール単薬系なのでしょうか?



しかしこれまでに出てきた情報を冷静に勘案してみると、現像時間は製造ロット毎に違っていて製品が安定していない可能性を感じます。(かつてはどこのカラーリバーサルフィルムも適用フィルタがロット毎に違ったように、モノクロフィルムでさえ安定的に製造をする技術が確立できていないという疑いです。)

そして、このパッケージに書かれている3分や6分という時間に間違いが無ければ、メトール単薬系にしてはあまりに短すぎます。倍の6分や12分なら充分に頷けるのですが、どう考えてもおかしい。そうすると СРЕДА がいうように D-76(MQ系) と考えるのが自然です。


ここは D-76 だと腹をくくって臨むしかありません!

さっそく現像してみました。

D.jpg

どうやら D-76 で正解だったようです。良かったぁ。

(注・ここに書いた内容は届いた2点に限っての正解かもしれません。正しい情報は販売元かメーカにお問い合わせ下さい。)
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