FC2ブログ

Entries

富士フイルム AS-1について(1)

APSは1996年4月に販売開始されました。その3ヵ月後の7月12日に富士フイルムから販売されたAPS専用フィルムスキャナが AS-1 (Photoscan-it) です。

当時のプレスリリースを見ると同時期のデジタルカメラDS-7 (Clip-it) にせよデジタルフォトビジョン FV-8D にせよ、ようやくビデオ信号から脱して専用の CCD を使い始めたものの出力は30万画素でした。一方の AS-1 はラインCCDを使っている 分それらに比べれば僅かに高画素ですが、スペックは 835dpi, 45万画素, RGB 24bit (16万色) です。インタフェースは IEEE1248 で ECP/Nibble の両対応。Windows 95 の Plug'n Play 対応でドライバは TWAIN 1.6準拠です。当時の普及型仕様と感じます。

この AS-1 の特筆すべきは、後にも先にも APS フィルム専用スキャナはただこの機種のみという点です。これを除く全ての APS フィルム対応フィルムスキャナは最低でも 135フィルムとの共用になっており、多くの場合 APS フィルムは標準仕様ですらなく、別売りオプションのアダプターを使うものが殆どだったのです。

A.jpg

以前からこの機種には興味がありました。ようやく機会を得たので手に入れた次第。

フィルムを通してみたものの、送りローラーのゴムが溶けていて正常に使えないという前所有者のメッセージがありました。流石に20余年の月日は APS フィルムに試練を与えます。ゴムは溶けプラは割れ全ては朽ちていくのですね...。いざ修理。


B.jpg

開けると本体前面の部分にスキャナの機構が全て集約されている事がわかります。後ろは処理回路のマイコン基板と電源だけです。そこでまず後ろとのケーブル類を全て外しスキャナを取り出します。

C.jpg

緑色の基板にスキャン照明の蛍光管が付いています。作業中に不意に破損する危険があるので真っ先に取り外します。

D.jpg

スキャン時はこれが水色に発光します。どちらかと言えばカラーネガに特化させていると言えるでしょう。そう良く考えられたフィルムスキャナは色レンジを稼ぐために光源も考えてあるのです。

E.jpg

ネジを外して覆っている部分を取るとフィルムの給装部分が現れます。確かにフィルム送りの飴色のゴムローラーが崩壊していました。

F.jpg

このゴムローラーを交換するには連携している駆動部分から抜かなくてはなりません。そこで上部にあるギアボックスを覆う鉄板を外します。上にはフレキが沢山両面テープで貼られているので慎重に剥がす必要がありました。とても気を使います。

G.jpg

APS カートリッジ駆動のシーケンスを1モーターで実現するややこしいギアです。設計した人は天才だと思います。

H.jpg

外す事ができました。これでようやく作業ができます。

I.jpg

すでに前所有者のネガに擦り込まれてしまったのでしょうか。かろうじて原型を留めていますが触っただけで崩れるほどズルズルになっています。元の厚みがわかりません。

J.jpg

あちこちに広がってしまったゴムの残骸を徹底的に清掃します。
ゴムローラのあったスペースは充分に広いようなのでゴムの厚みが何とか推定できました。部品箱から合いそうなのを探します。

K.jpg

真ん中に溝のある特殊なローラになってしまいましたがサイズは良さそうです。この黒ゴムは加水分解しないタイプなのであんな風にはならないでしょう。まぁゴムに永久はないですが。
(右端に写っているスリットがスキャン部分です。上に先ほどの蛍光灯。下に45度のミラーがあって CCD へ繋がる光路になっています。)

L.jpg

このゴムローラーと反対側(先ほど外した側)の様子です。2本のプラローラーがあって先ほどの交換したローラとこれにフィルムが挟まれて送られます。右側のガラスが最初に外した蛍光灯の窓です。(これは清掃前の写真です)

M.jpg

CCDへの光路側はこうなっています。左のグレーのケーブルの繋がった白いコネクタのある基板にラインCCD (1024画素 G,R/Bフィルタ2ライン) が取り付けられています。このプラを止めているネジで出荷時のピント調整していると思います。誤って外してしまうと再調整は困難を極めるでしょう。

修理作業は終わったので綺麗に清掃して元に組み上げます。

Windows XP機にも TWAIN の機能がちゃんと生きています。そこで付属CDのドライバやソフトを XP 機にインストールし、パラレルポートに接続してみます。

N.png

TWAIN ドライバでプレビュー確認できました。無事修理完了です。
関連記事

Appendix

プロフィール

tri-chrome

Author:tri-chrome
自分の撮った写真がフィルムに残っているのって何かいいよね

カレンダー

07 | 2020/08 | 09
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

最新記事

検索